主に欧州方面だとは思いますが、「少数生産車」というカテゴリがあります。
生産台数が年間 500 台未満等の自動車をいう。
この場合において、車両識別番号(VIN)の WMI(World Manufacturer Identifier)の 3 桁目の記号が「9」である自動車は、少数生産車に該当する。(審査事務規程 1-3 用語の定義より)
海外から車両を輸入するにあたって一番のネックとなるのは技術基準への適合性の証明だと思います。北米方面で言えばFMVSS/CMVSSラベル、欧州方面であればWVTAラベル、COCペーパー、EU加盟国の車検証があれば大半の技術基準への適合性はそれらで見てもらえるのであとはカバーされていないものの適合性を示していけばよい、となります。しかし少数生産車に関してはたとえWVTA番号がついていたとしても一切考慮されず一から適合性を証明していかないといけないというルールになっています。
NALTECに「何故少数生産車はそのような厳しい扱いをするのか?」と聞いたことはありませんが、DIRECTIVE 2007/46/ECをあたったところ根拠となりそうな箇所がありました。
Article 23
National type-approval of small series
In the case of vehicles produced within the quantitative limits specified in Section 2 of Part A of Annex XII, Member States may waive one or more of the provisions of one or more of the regulatory acts listed in Annex IV or Annex XI, provided that they lay down relevant alternative requirements.
(第23条
少数シリーズの国家型式承認
附属書XIIのパートAのセクション2に規定された量的制限内で生産された車両の場合、加盟国は、関連する代替要件を定めている限り、附属書IVまたは附属書XIに列挙されている1つ以上の規制法の規定の1つ以上を放棄することができる。)
ここでいう「規制法」とは「71/320/EEC」といったブレーキをはじめとする各装置の技術基準を定めているものを指しています。少数生産車の場合「代替要件を定めていれば規制法を免除できる」とあるため、「どの項目が代替要件になっている判断できない」ので一律で少数生産車のWVTAラベル等を無効としているものと考えられます。
COCペーパーや車検証が使えないとあとは自動車製作者たるメーカーに直接掛け合って技術基準適合証明書を出してもらうくらいしか方法がありません。メーカー側としても前例がなければ「何でそんな書類を出さなければいけないのだ」から始まるので難航は必至です。
運よく技適が出てきたらあとは残っている技術基準への適合性を試験をするなどして一つ一つクリアしていけばよいということになります。とはいえ車両製造時点で日本で求められている技術基準に受かることを想定していないので一筋縄ではいきません。試験をしたら落ちた、なんてことも…。
経験した過去事例では最終的にはナンバーは付いてお客様に納入できました。