前回の少数生産車の内容の続きです。
車両が日本に届いて技適も入手できましたが、それでもクリアしなければならない壁はいくつもありました。
そのうちの一つが協定規則第121号関連でした。
協定規則第121号といってもピンときませんが、要は下の画像のようなメーター廻りに表示されているロゴのに関する技術基準です。
まさかこんな項目が技術基準をクリアしていなかったとは!というのが正直なところですがUN R121-01への適合が求められている以上何とかするしかありません。とはいえNALTECのサイトで試験規程が公開されていますが、ネットを探したところで「UN R121の試験をやってます!」という試験機関はありません(2022年9月現在)。
そこで懇意にしている愛知の日本特殊車輌協会さんに相談したところ、試験をやってもらえることになりました。
しかしながら試験をお願いするといっても全てお任せ、というわけにはいきません。自力でUN R121-01を読んで改善が必要な項目をリストアップして改善を施し「試験を受ければ受かる」という状況まで持っていく必要はありました。
こうして試験を受けて並行輸入自動車の届出に漕ぎつけるわけですが、普段は技適で触れられる程度のUN R121の試験成績書が添付されているので検査官側もしっかり確認するわけです。その結果、審査事務規程と協定規則との思いもよらない微妙な差異に気づくこととなります。
指摘があったのは自動変速機の変速装置(変速装置)のインジケータで、いわゆる「P R N D」というやつです。届出車両は「R N V」であったため(Pレンジはなし)、「Vは基準を満たしていないのではないか」ということでした。
協定規則では
「文字「D」は、メーカーが追加の選択モードを表示する場合は、他の英数字又は記号に置き換えたり補足したりしてもよい。」
となっており確かに追加の選択モードがない届出車両で言えばNGと読めなくもありません。しかし、審査事務規程では
「文字「D」の代わりに他の英数字や記号を使用することができる。また、文字「D」に補足してもよい。」
と追加の選択モードの記述が落ちています。上記の記述でしたので「確かに協定規則は満たしていないという指摘はその通りですが審査事務規程の基準は満たしているので技術基準に適合しているとしてもよいのではないでしょうか」と返答し、OKをもらいました。
今後同様の事例があるとは思えませんがご参考になれば…
ちなみに自身R121に適合していない車に関わるのは初めてでしたが稀に適合していない自動車も存在するようです。