10月に続き11月も審査事務規程の改正が行われました(第46次改正)。
今回は審査事務規程の内容も大きく変わる改正でした。
プレスリリースでは改正の概要が取り上げられていますが、大抵一番最後に「書きぶりの適正化を行いました。」という旨の内容が入っています。この「書きぶりの適正化」が曲者で見落とすと後になって「えー、いつの間にここが変わったの?」と思うこととなります。
書きぶりの変更についてはプレスリリースと同時に出される審査事務規程の新旧対照表で知ることができます。
審査事務規程の一部改正について(第46次改正)
https://www.naltec.go.jp/topics/fkoifn000000f9sb-att/fkoifn000000f9te.pdf
「おっ」と思ったのは用語の定義で「EU加盟国」が削除されたことでした。
旧規程では
「ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、ベルギー、ハンガリー、チェコ、スペイン、英国、オーストリア、ルクセンブルグ、フィンランド、デンマーク、ルーマニア、ポーランド、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、クロアチア、スロベニア、スロバキア、エストニア、ラトビア、ブルガリア、リトアニア、キプロス及びマルタをいう。」
となっています。アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコがEU加盟候補国となっていて今後加盟国が増える度に用語の定義を変更するのは煩雑だと思ったのかもしれません。しかし、定義された加盟国を見るとEUを脱退した「英国」が含まれています。
特に乗用車が対象となるかと思いますが、並行輸入する際の技術基準への適合性を示す資料として車検証を用いることがよくあると思います。イギリスがEUを脱退したのは少し前のことですが、審査事務規程でイギリスはEU加盟国と見做されていたため現地での車検証を提出して技術基準への適合していると判断されていたわけです。これが今回の改正でイギリスが落ちてしまったのでこの手は使えなくなりました。
とはいえ救済措置も設けられています。「EU加盟国の自動車検査証等」の定義が「当該自動車検査証等の発行日において欧州連合(EU)加盟国である国の権限ある政府機関が発行した自動車検査証または自動車登録証をいう。」と変更されていてEU脱退前の車検証は引き続き技術基準適合を示す資料として有効の扱いとなっています。既登録車に関しては変わらずということです。
この箇所の改正で現地で走っていたイギリス車を輸入しようとした場合に今後は影響が出るかもしれません。また、イギリスを走っていた他国産の車~例えばベンツ、BMW、フィアット、英国トヨタもありますね~も同様です。とはいえそれらの多くにはWVTA番号が付いているでしょうから実際には従来とあまり変わりないという結果かもしれません。いずれにしてもイギリスから中古車を取るのであれば最低限WVTA番号のことは押さえておきたいところです。
参考文献
駐日欧州連合代表部「EUとは」